遠洋まぐろ漁船の会社です。

代表取締役 ご挨拶

会社があるのは福島県いわき市。高度経済成長期が到来する前には、常磐炭鉱などの石炭産業を中心に、漁業・農業・林業といった第一次産業で発展する

閉山後は工業化が進み、現在では仙台市に次ぐ東北第二位の工業製品出荷額の工業都市となる。

 一方、漁業は昭和40年代の後半からは200海里漁業水域設定により遠洋底曳網漁業、さけ・ます流し網漁業が北洋から撤退、資源量の減少も相まって徐々に衰退していった。

 それに輪をかけ、2011年の東日本大震災が襲い、それに伴う原子力発電所事故の風評被害により、漁業はかつてないところまで落ち込んでいった。

 

 私は大学を卒業後、家業である漁業会社(本蔵商店)を継ぐ前に修行として東京築地にある荷受会社大都魚類まぐろ部で勤務した。毎朝3時には起床し、冷凍まぐろ類のセリに関わる仕事をしていた。3年間の実務経験を経て試験に合格すればセリ人の資格を得られ、それを目標に日々働いた。

 築地市場は、銀行、病院、飲食店、宿泊施設までなんでも揃った一つの小さな町のようで、そこで働く人々の経歴や人種も多種多様、活気があって毎日忙しくも楽しく働いた。 

 

 ちょうどその頃、遠洋まぐろ業界は何度目かの厳しい時代を迎え、平成10年の国際減船の波が地元福島をも襲った。急遽修行期間を前倒して帰郷し、家業を継いだ。これが平成12年だった。

 先ずは現場の仕事を覚えることが第一だとの父から教えで、さんま船の艤装作業を乗組員と一緒に手はペンキだらけ、服は油だらけになりながらやった。

 

 減船後もまぐろ漁業を取り巻く環境は厳しいままだった。外国の巻き網船のFADS操業で小型のメバチへの資源圧力が強くなり釣獲率は徐々に減少。魚価も上がらない一方で漁撈経費は年々上昇していった。とりわけ、船の運航にかかる経費の中で最も大きいのが燃油費だが、20年前に比べると約2倍にまでなった。

 

 厳しい経営環境ではあるが、このまま福島のまぐろ漁業の経営基盤が縮小してしまってよいのか、私だけではなく、辰巳水産佐藤社長、長久丸漁業部加澤社長も同じ思いで、福島のマグロ漁業の未来図を模索していた。そんな折、3社共通の取引先でもある農林中央金庫にも参画してもらい協議を続けた。

そして、新しい会社組織を立ち上げ、新船建造に取り組むこととなった。

 

 3社の漁撈長には新会社でも引き続き手を貸していただけることとなり非常に心強く、前進する原動力となった。

 代表取締役には私が就任し、辰巳水産、長久丸漁業部の社長さん方はそれぞれ取締役として側面から見守ることになった。

 1社化後も既存3経営体時代4隻の規模を維持するため、船齢の若い「第38漁福丸」(平成25年建造)と、高船齢だが手入れの良い「第57辰巳丸」を活用し、それ以外の2隻の建造に着手した。

 

 新造船2隻の特徴は西経漁場の特性に適した船。

1隻は昨今の燃油価格の高騰と、広大な漁場に対応するため省エネ性能に優れた新設計を採用。日本の漁船で初めて採用した船首構造の「第1漁福丸」。

船は会社にとって今後30年使う財産そのもの。船の建造については昔から革新的技術の導入にはリスクを伴うため敬遠されがちで、一部には心配する声もあったが、漁業は変わっていかなければいけないとの思いで踏み切った。

 

本船省エネ値の実績如何では、今後この船型がまぐろ船のみならず、他業種船にも波及していく可能性もあるため、船主として責任重大である。

もう1隻の「第35漁福丸」は、西経漁場における稼働隻数の減少に伴い運搬船の確保が難しくなっていることに対応するため魚艙容積を拡大し船体も一まわり大きくした。これにより転載に頼らなくとも独航で航海収支が成り立つ計画を立てられる。

この2隻それぞれの長所と生かしながら、短所を補完し合い、更には既存船2隻との連携を含む4隻体制で、船団操業で情報の共有・連携により効率的な運航を目指す。

また、1社化にすることにより陸上管理コストを削減できるのも大きいという。

 

地元小名浜港でも水揚を始めた。当初は震災後間もなくで風評被害のリスクは大きかったが、行政や地元水産関係者には喜んでいただいた。昨年からは地元スーパーで「小名浜港で水揚げされた漁福丸」ののぼりと共に販売され好評を博した。

今後は、年間100トンを目標にやっていくという。

 

新会社の立上げと、2隻の新造船建造は大きなチャレンジだが、漁業家で生まれ、漁業が好きでここまでやってきた。辰巳水産、長久丸漁業部の社長さん方も強く背中を押してくれた。

 

今後の経営の課題としては、乗組員の後継者の問題が一番大きい。少しずつ地元の小名浜海星高校卒業の若年乗組員を採用出来てはいるが、まだまだ足りない。

まぐろは日本の食文化。子供に一番好きな魚はと聞けばいつの時代もまぐろだ。今後もまぐろの需要は衰えることは無い。新会社には安心で安全な美味しいまぐろを供給し続ける義務を背負っていると自分に言い聞かせながらこれからも乗組員と共にがんばっていく。

会社概要

福島県いわき市の江名漁港近くに本社がある。

有限会社本蔵商店、辰巳水産株式会社、有限会社長久丸漁業部の3社が、いわき地区のまぐろ漁業の基盤維持と地元水産業の復興のために立ち上げた会社である。

代表取締役の吉田雄二は、大学卒業後、築地魚市場で3年間の修行を通じ、まぐろをはじめ魚の目利きや流通に関して相当の知識を有している。

自社船のまぐろの販売において、乗組員が苦労して釣った魚を正当な価格で、また少しでも高く評価されるよう努力したい。

専務取締役の佐藤順一は、大学を卒業後、長年にわたり、この業界に従事している。

事務担当の小林和枝は、長年漁業会社や漁業者協会に勤務した経験を活かし、経理と福利厚生等を担当する。

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◆将来、漁撈長や船長、機関長といった

 船舶職員を目指す志の高い皆さんへ                                                                                          「まぐろ船乗り」は決して楽ではありま         せんが、とてもやりがいのある仕事です!                                                               

海技資格の取得については会社が全面的にサポートします。

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1.社名       株式会社 漁福

                               (RYOFUKU INC.)  

2.設立年月日      平成291122 

3.本社所在地     福島県いわき江名字

                 北町50番地

4.資本金             6,000万円

5.代表者名         代表取締役 吉田雄二

6.従業員数         95名(うち船員93名)

7.事業内容        遠洋まぐろ延縄漁業

                4隻運航(県内最大)

                    ・第38漁福丸 439t 

                            ・第35漁福丸 499t

                        ・第1漁福丸  479t

                             ・第57辰巳丸 427t

8.取引金融機関 農林中央金庫本店、

             東邦銀行小名浜支店

9.主要取引先     日本かつお・まぐろ

漁業協同株式会社

三菱商事株式会社

山菱水産株式会社

                                福島県漁業協同組合

            連合会

10.加入団体・協会  

   日本かつお・まぐろ漁業協同組合

       一般社団法人 福島県鰹鮪漁業者協会 

 

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 ★新型インマルサット機器導入!!

 

令和4年入港船から順次新型のインマルサットFX(衛星回線)システムを導入しま       

した。

はるか洋上にいても船内WiFiが整い、スマホやタブレットをネット接続して、LINEなどが出来る様になりました。

電話代を気にせず、LINE電話やメールなどを気軽に陸上のご家族やご友人たちと連絡を取れる時代となりました。

乗組員の方々からは、大変便利で使いやすいと非常に評判が良いです。

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事業内容

 当社は、福島県いわき市にて古くから漁船漁業を経営している、本蔵商店・辰巳水産・長久丸漁業部、この3社が出資し2017年に誕生した新しい会社です。

現在は日本から船で約1カ月、13,000キロメートル、遠く離れた太平洋西経漁場を主体に遠洋マグロ船4隻を運航しております。

 

 もともと、この3社は独自の経営実績を持っておりましたが、船員の高齢化による労働力不足、船舶の老朽化、魚価の低迷といった様々な共通の課題を抱えており、このままではいずれは福島県から遠洋マグロ漁業が無くなってしまうのではないかという危機感を持っていました。

 

更には、2011年の東日本大震災によって、地元いわき市にある小名浜港は人的にも物的にも大きな被害を受けました。

その後も原発事故の影響により、沿岸漁業は試験操業を強いられるなど、地元漁業を取り巻く環境は厳しい状況が続いておりました。

 

このような中で、自分としては遠洋マグロ漁業の灯を消したくない、福島の漁業のために何かできることは無いか、という強い思いがありました。

ただ一方で遠洋マグロ漁業の経営は構造的な課題もありリスクが高いので、一筋縄ではいかずに将来について迷う気持ちもありましたが、統合のメンバーから背中を押され、3社共通のメインバンクである農林中金からの計画策定をはじめとするご支援を頂き、「新しい会社組織を立ち上げてそこで新しい船を作ろう、そして地元の小名浜港で水揚げを行って地域漁業の維持・発展を目指そう」という決断に至りました。

 

そして、2019年には新会社による新たな遠洋マグロ漁船2隻が竣工し、20202月には、そのうちの1隻である第35漁福丸が、約10か月間の初航海を終えて小名浜港にて初水揚げを行うことができました。

震災後10年を経て、当社は地域復興の歩みと並走しながら、新たな歴史を着実に進めているところであります。

  

今後の10年は、先人から自らに託された福島県の遠洋マグロ漁業が、後の人々に誇りを持って伝えられるものとなるように、美味しいマグロをより多くの皆様に提供し、ご評価頂くことが、自分の使命だと考えております。

 

冷凍マグロは、釣り上げてからでずっと魚体温度マイナス60度を維持することで細胞の劣化がおきませんので、生のまぐろにも全くひけを取らない鮮度と味わいを感じていただけると思います。

 

また、このまぐろ延縄漁法は、できるだけ未成魚が掛からないよう工夫された日本の伝統的な漁法で、一定以上の大きさのまぐろを狙って釣り上げます。

そして、資源が枯渇しないよう厳格な漁獲管理を行っており、いわばエコでサスティナブルな漁法で釣った魚です。

 

福島の漁業者の釣った、安全・安心な天然マグロを是非ご賞味ください。

なお、足元コロナウイルスで消費が落ち込んでいる時期ですので、ぜひ皆さまで震災復興地域のことを思いながら消費を盛り上げていただけますと幸いです。

 


Youtube 動画


学生の皆さんへ

吉田社長から学生の皆さんへのメッセージです。

第1漁福丸 進水式

進水式のクライマックス!

「支綱切断」の動画です。

第35漁福丸 初航海 出港

気仙沼港から出港風景です。

三陸新報様のドローン撮影動画です。

遠洋漁師になる!

乗船希望の新人くんのいる

地元の水産高校訪問へ

(現在乗船中)